できれば両方使っていただくのが一番理想的です。
ただ、どちらかを選ぶとしたら、これまでむし歯が多くて歯医者さんに通う機会が多かった方は、むし歯のリスクが高めなのでフロスがおすすめです。
一方で、あまりむし歯治療をしてこなかった方は、歯周病のリスクのほうが高い傾向があるので歯間ブラシを使うのがいいと思います。
また、詰め物や被せ物が多くてフロスが引っかかってしまう場合は、無理に使わずに歯間ブラシを使っていただいて大丈夫です。
たばこは、歯周病ととても深い関係があります。
吸っている方は、歯ぐきのすき間(歯周ポケット)が深くなりやすく、歯を支える骨も減りやすいんです。
特に年齢を重ねると、その影響が大きくなります。
歯周病になるリスクは、たばこを吸わない方の2〜9倍ほど高いとも言われています。
ですので、歯ぐきの健康を守るためにも、できるだけ禁煙をおすすめします。
そして、歯垢をきちんと落とす正しい磨き方を続けて、歯医者さんで定期的に検診とクリーニングを受けることが大切です。
食べ物を口に入れると、自然に出てくる唾液(だえき)。
実はこの唾液には、体を守ってくれる大切な働きがたくさんあるんです。
消化を助ける:唾液の中の酵素が、食べ物の中のデンプンを分解して、消化を助けます。
お口をきれいにする:食べ物の酸や塩分をやわらげて、口の中を洗い流し、清潔に保ってくれます。
むし歯を防ぐ:唾液は弱アルカリ性なので、食後に酸性になった口の中を戻して、歯が溶けるのを防ぎます。さらに、初期のむし歯を自然に直そうとする力もあります。
ばい菌から守る:唾液に入っている成分が、ばい菌やウイルス、カビなどをやっつけてくれます。ネバネバした唾液(ムチン)は、口の中を乾燥や刺激から守ってくれるんですよ。
老化を防ぐ:唾液の中のホルモン(パロチン)には、老化をゆるやかにする働きがあると言われています。ほかにも、病気の原因になる「活性酸素」を減らしてくれる成分も入っています。
このように、唾液はとてもすごい働きをしてくれています。
よく噛むことで唾液はたくさん出てくるので、食事のときはゆっくり、よく噛んで食べることがとても大切です
「白くなる」といっても、その感じ方はどこまでを白いと見るかで少し変わってきますね。
着色がある場合は、クリーニングをすると汚れが落ちて白くなったように見えますが、もともと着色が少ない方はあまり変化を感じにくいこともあります。
クリーニングのあとに塗り込むペーストは、歯科医院専用のものを使っていて、歯の表面をつるんと滑らかにしてくれます。
その結果、光の反射が変わって「白く見える」と感じる方も多いですよ。
お口の中はとても狭くて繊細な場所ですので、治療はミリ単位の精密な作業になります。
ほんの少しのズレでも噛み合わせに影響が出たり、神経を刺激してしまうことがあるため、どうしても慎重に進める必要があります。
また、虫歯や神経の治療は一度で終わるものではなく、いくつかの段階を踏んで進めていきます。
たとえば、虫歯を削ったあとに神経を取る治療(根管治療)を行い、消毒をしてから詰め物や被せ物を入れる...といった流れになります。
特に神経の治療は時間がかかることが多く、数回に分けてしっかり消毒・処置を行わないと、再発してしまうこともあるんです。
また、詰め物や被せ物はその場ですぐに作れない場合が多く、歯科技工所という専門のところで製作するため、完成までに数日〜1週間ほどかかります。
さらに、日本の保険診療では1回の治療でできる内容に制限があるため、通院回数が増えることも少なくありません。
患者さまのご負担を考えて、長時間の処置を避け、少しずつ丁寧に進めることもあります。
こうした理由から、歯の治療にはどうしても時間がかかってしまうことが多いんです。
食べ物や飲み物を口に入れた瞬間から、むし歯菌は動き出します。
なので、できるだけお口に入れる回数を少なくして、食べ物や飲み物の成分を確認しながら糖分の摂りすぎを防ぐことが大切です。
キシリトールはむし歯予防に良いと言われていますが、その効果も新しい研究で変わることがあります。
だからこそ、「お口に入れる回数を減らして、食べたらすぐに磨く」という基本をしっかり守るのが一番大事ですね。
メインテナンスの間隔についてですが、研究では「3ヶ月ごとのメインテナンスでお口の健康を長く維持できた」という報告があります。
保険診療でもこの考え方が参考にされているようで、多くの歯科医院では3ヶ月ごとが一般的です。
当院では基本的に4ヶ月ごとを目安にしていますが、お口の状態に合わせて3ヶ月ごとや6ヶ月ごとに調整しています。
もう少し短い間隔で通いたいという方には、最短で1ヶ月ごとにも対応しています。
とはいえ、本来の理想は「歯医者さんに通わなくても健康な状態を保てること」です。
そのためのサポートを、これからも一緒にしていければと思います。
フッ素には、歯をむし歯から守るための大切な働きがいくつもあります。
唾液の中にあるカルシウムやリン酸を取り込んで歯を修復する「再石灰化」を助けたり、
「フルオロアパタイト」という強くて安定した結晶をつくって歯を酸に強くしたりします。
さらに、むし歯菌の酵素の働きを抑える効果もあるんです。
こうした働きのおかげで、むし歯になりにくくなりますので、フッ素をしておくとその後の経過もとても良くなりますよ。