細川歯科医院の考え方

デジタル歯科(デジタルデンティストリー)

デジタル歯科(デジタルデンティストリー)とは、歯科治療においてデジタル機器やコンピューター技術を積極的に活用することで、従来の治療方法をより効率的かつ高精度に行うことを可能にした新しい歯科医療のかたちです。近年、歯科医療全体でデジタル化の波が加速度的に進んでおり、補綴(詰め物・被せ物)、矯正、義歯の製作、画像診断など、さまざまな分野においてその技術が導入されつつあります。 たとえば、詰め物や被せ物の製作においては、これまでは印象材と呼ばれるゴム状の材料を使用して口腔内の型取りを行い、そこから石膏模型を作製し、その模型を技工所に送って技工物を作ってもらうという工程が一般的でした。この方法では、型取り時、模型作製時、そして技工物製作時の各段階で、わずかながらも誤差が生じる可能性があり、それらが積み重なることで適合精度の低い補綴物ができてしまうこともありました。 これに対し、現在では口腔内スキャナーを用いてお口の中を直接スキャンし、そのデータをもとにパソコン上で設計を行い、ミリングマシンと呼ばれる機械でセラミックやジルコニアなどの材料を高精度で削り出す方法が主流になりつつあります。このように、デジタル化によって中間工程を省略または簡素化できるため、結果としてより高精度な詰め物や被せ物の製作が可能となっております。

デジタル歯科では、スキャンデータや設計データのやり取りもすべてデジタルで行うため、通信環境の安定性は非常に重要です。当院では、データの送受信中に発生するエラー、特に無線LANで起こりがちな通信の途切れを避けるため、すべてのネットワーク環境を有線LANで構築しています。院内にはCat8規格の高速LANケーブルを配備し、2.5G対応のスイッチングハブ、10G対応の光回線およびルーターを導入することで、安定した高速通信を実現しております。また、患者様のお口の中の画像を表示・管理するために、iPadを用いてWi-Fi接続の「デンタルXR」というソフトも使用しておりますが、こちらにおいても院内に5台の2.5G対応メッシュWi-Fiルーターを設置し、通信の死角が生じないよう万全の体制を整えております。

当院の院長は、学生時代より興味を持ったことに対して深く探究する性格で、パソコンやデジタル技術についても、1980年代のPC-8801というコンピューターの時代から親しんでおり、Windowsの登場後は自作パソコンやLAN構築といった分野に興味を抱き取り組んできました。院内のネットワーク整備や、近年義務化されたマイナンバーカードによるオンライン資格確認の設定に関しても、その複雑さに関わらず、すべて一人で構築しております。

院長はまた、歯周病という複雑な因子が絡む病気に強い関心を持ち、長年勉強を続けてきました。歯周病は原因が一つに絞れない多因子性の疾患であるため、治療が難しいという特性がありますが、そうした「難しさにこそやりがいを感じる」という考えから取り組んでまいりました。現在では、その延長として臨床心理学にも関心を持ち、心の問題についての理解を深めようとしているところです。

日々の診療においても、スキャンした補綴物のデータは、基本的に診療の合間を活用して、次の患者様の診療が始まる前に迅速に設計および製作を行っております。自費診療のセラミックやジルコニアなどは焼成工程が必要となるため、完成までに数日間のお時間をいただいておりますが、保険診療に用いられるCAD/CAM冠については焼成が不要であるため、原則として当日中に技工物の製作が完了いたします。診療の進行状況によっては、翌日の装着も可能であり、結果としてCERECシステムの導入により、患者様の通院回数や治療期間の短縮に大きく寄与しております。また、従来の印象材による型取りでは、嘔吐反射による不快感を訴えられる患者様もいらっしゃいましたが、口腔内スキャナーの導入により、そうした不快感を大幅に軽減することができ、より快適に治療を受けていただけるようになりました。

このデジタル技術は、入れ歯の製作にも応用され始めており、現在は主に自費診療の範囲に限られてはおりますが、将来的には保険診療においても広く活用されることが期待されています。特に入れ歯の型取りは嘔吐反射を誘発しやすい処置の一つですが、スキャナーを用いることで患者様の負担を軽減できるほか、模型を物理的に郵送する必要がなくなるため、インターネット経由で技工所に即時データを送信できるという利点もあり、製作のスピードと精度の向上が見込まれます。ただし、現時点では歯のない粘膜部分についてはスキャナーでの正確な読み取りが難しい場合があるため、その際には従来の印象材による型取りを併用することがあります。なお、総義歯についてはすでに3Dプリンターでの製作が可能となっており、今後は金属バネを含む部分入れ歯についても3Dプリンターによる対応が可能になると予想されており、当院としてもその技術の進展を注視しております。

さらに、矯正治療の分野においてもデジタル化は進行しており、スキャンデータをもとに歯の動きをコンピューター上でシミュレーションすることが可能となってきました。これにより、大きな歯の移動を必要としない軽度の矯正であれば、マウスピース型矯正装置を用いて、より手軽に、かつ比較的リーズナブルな価格で治療を受けられる時代が近づいています。当院ではインプラント治療は行っておりませんが、インプラントの分野においてもCTデータを活用した治療計画が一般的となっており、こちらでもデジタル化の波が着実に広がっている状況です。

このように、今後ますます歯科医療全体がデジタル化に向かっていく中で、細川歯科医院では常に最新の技術と知識を積極的に取り入れ、患者様にとって最も良質で信頼のおける医療を提供できるよう、日々研鑽を重ねてまいります。(2025年6月記)

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