細川歯科医院のもう一つの大きな強みは、院長が歯科医学の技術や知識を高めることだけにとどまらず、10年以上にわたり臨床心理学を専門的に学び続け、「心」に寄り添う診療姿勢を実践している点にあります。院長は41歳の時点で、治療技術の向上のみを追い求める従来の在り方を見つめ直し、「どのような患者さんであっても真剣に向き合い、理解しようとする歯科医でありたい」という強い思いから、放送大学にて臨床心理学を体系的に学ぶ道を選びました。人は一人ひとり価値観も人生背景も異なり、心の状態も決して同じではありません。特に歯科治療の現場では、痛みや腫れ、先の見えない不安といった強いストレスにさらされることで、心に問題や葛藤を抱えた患者さんが、怒りや苛立ち、時には涙といった激しい感情を表に出されることがあります。多くの歯科医師は心理学の専門的な教育を受ける機会がないため、こうした感情の揺れに直面した際に戸惑いを覚え、無意識のうちに距離を取ってしまったり、必要最低限の事務的な対応に終始してしまったりすることも少なくありません。
しかし、臨床心理学を深く学んできた当院長は、人の心の動きや痛みには必ず理由があることを理解しており、患者さんが発する感情を「問題」として排除するのではなく、その背景に目を向け、まず受け止めようとする姿勢を大切にしています。すべてを完璧に受容できるわけではないにしても、感情を拒絶せず、理解しようと努めるその姿勢こそが、患者さんにとって大きな安心感につながっています。当院のホームページにおいてもこの考え方を明確にお伝えしているため、うつ病や双極性障害、統合失調症、パニック障害などの診断を受けた患者さんも数多く来院されていますが、当院ではそれらを特別視することなく、一人の患者さんとして自然に、そして安全性に十分配慮しながら診療を行っています。この診療姿勢の根底には、院長が若い頃に強い影響を受けたドラマ『3年B組金八先生』に登場する「腐ったミカン」のエピソードに象徴される、どんな生徒も決して見捨てない教師像への憧れがあります。時代遅れだと笑われることがあるかもしれませんが、どのような状況に置かれた人に対しても正面から向き合いたいという情熱は、今もなお揺らぐことはありません。
また医師としての理想像も、ドラマ『白い巨塔』に描かれたような、技術と名声を追い求める財前五郎的な姿から、患者一人ひとりの人生や価値観に誠実に寄り添い続ける里見脩二の生き方へと、臨床経験を重ねる中で自然と深化してきました。たとえ他院では対応が難しく、途中で行き場を失ってしまった患者さんであっても、当院では決して見捨てることなく受け入れたいという強い思いのもと、院長は今日も歯科医療と臨床心理学の双方から学びを続け、心と身体の両面に配慮した歯科診療を実践し続けています。